採用

不動産業界における人材流出問題とその解決策:新卒・第二新卒採用の重要性

人材育成

皆さんこんにちは。今回は、数多くの不動産会社との対話を通じて見えてきた、人材流出問題とその解決策についてご紹介したいと思います。具体的には、「トップ営業マンが退職した」、「No2の幹部社員が独立し、社員を何名か引き連れてしまった」など、不動産会社が抱える難題の本質と、これを解消するための方策について話を展開していきます。

不動産業界における人材問題の核心

まず理解すべきなのは、不動産業界が古くから抱える人材に関する問題の核心です。その理由は大きく二つあります。

第一に、独立のハードルが低いという特性が挙げられます。宅地建物取引士の資格を持っていれば、誰でも不動産業を開始できます。特に仲介業であれば、商品の仕入れや在庫管理に必要な資金はほぼ要りません。そのため、一定のスキルと経験を持つ人材が独立を選びやすい業界となっています。

第二に、不動産業界での給与水準が比較的高いことです。特に、独立を志向するような人材は、売上を上げる力があり、年収2000万円、3000万円といった高額な給与を得ることも可能です。それにより開業資金を確保することが比較的容易となります。

これら二つの要素が重なることで、不動産業界は人材が独立しやすい環境となっています。その証拠として、2023年現在の日本全国の宅建業者は129,604業者にのぼり、全国のコンビニエンスストアの数(56,000店舗)の2倍以上という驚くべき数になっています。

しかし、これが意味するのは、人材の定着が極めて難しいということです。では、どのようにしたら人材を定着させることができるのでしょうか?

不動産業界における人材定着策:新卒・第二新卒の採用重視

実は、不動産業界で人材定着を図る方法は存在します。しかし、それは一朝一夕に結果が見えるような短絡的な手法ではありません。むしろ地道に会社と従業員の繋がりを強め、信頼関係を構築していくことが重要です。

具体的には、社員に対して自分を育ててくれた社長や上司、そして会社の環境への感謝を持つような風土を作ることです。そしてその感謝の念を上司や会社ではなく、自分自身の部下や後輩に向けるような気持ちを育むことが求められます。

そのためには、新卒採用や20代前半の第二新卒という若手を採用し育成するのが最も効果的な方法と言えます。確かに新卒採用には「戦力になるまで時間がかかる」、「育成に手間がかかる」、「

扱いにくい」という意見もあります。しかし、会社の価値観=社長の価値観を明確にし、それを採用時から伝え続けることで、新卒や第二新卒の若者を育てることは十分可能です。

価値観を伝え、理解させる方法

では、価値観をどのように伝え、理解させるのでしょうか?その手段は様々ですが、具体的には採用時の説明会や各種媒体を通して入社予定者に伝える方法が一つあります。ここで重要なのは、社長自身が自社の価値観を具体的に、かつ少し大げさに語ることです。説明会に来ている求職者の半数が「この会社はちょっと違う」と思って退席するほどの強烈な価値観を語ることがポイントです。

その結果、入社する人は自社の価値観を理解し共感してくれる人が残り、早期退職を防ぐことができます。そして、その後も定期的に会社が大切にしている価値観を伝え続け、社員自身の人生観と紐づける作業を続けることが大切です。

これは特に50名以下の小規模な会社では、社長自身が担うべき仕事です。定例のミーティングだけでなく、食事や飲み会などのカジュアルな場でも、1対1で話をする時間を設け、「何のためにこの会社で働いているのか?」ということを共有し、確認し合うことが必要です。その結果、結束力のある強い組織が形成されていきます。

まとめ

不動産会社においては、即戦力を求めた採用よりも、会社の価値観と社員自身の人生観を紐づけ、育成することで組織は強固になります。そのためには経験者を採用するのではなく、新卒や第二新卒といった若い人材を毎年定期的に採用し育てていくことが、10年、20年という長い視点で見たときには近道となるでしょう。

人材の採用や育成について、何かお困りのことや相談事があればいつでもお問い合わせください。オンラインでの打合せも対応可能ですので、お気軽にご連絡ください。